仕入先リストなど、デフォルトでは用意されていないオリジナルのテーブルを作るには?
この記事では、EC-CUBE 4でデータベースに新規テーブルを追加する方法を、実例を交えつつ解説しています。
なお、既存のテーブルに新しい項目(カラム)を追加する方法は こちらの記事 で解説しています。
なおデータベースの操作には、サーバーにSSH接続してコマンド入力する必要があります。
慣れていないとSSH接続までが大変かと思いますが、データベースをカスタマイズできるとやれることがグンと増えるので、ぜひトライしてほしいと思います。
SSH接続方法(Xserver)
もしレンタルサーバーのXserverを使っていれば、以下記事でSSH接続方法を解説しています。
商品のメーカー情報を管理する『dtb_Maker』を作成してみる
実際に新規テーブルを追加する例として、メーカー情報を管理する『dtb_Maker』 という名前のテーブルをデータベースに追加してみます。


実はちょっと記述ミスをしまして、メーカーコード(code)は短い文字列(8字まで)にするつもりが、4,000字まで格納できるデータ型になってしまいました。
→ こちらの記事 でテーブルを修正しています。テーブルの修正方法について知りたい方はどうぞ。
新規テーブルの追加手順
- 新規テーブルのEntityファイル(Maker.php)を作成し、サーバーにアップ。
- サーバーにSSH接続し、PHPのバージョンを7.4に設定。(すでに7.4の場合はスキップ)
- コマンドでキャッシュをクリアしてから、SQLを実行。
このうち①は、Controllerなどのファイルをサーバーにアップするとき と同じように操作を行います。
②・③は、サーバーにSSH接続してコマンドラインで行う操作です。
ちょっと難しいですが、順々に説明します。
Entityファイルの作成
新規テーブルを作成するには、そのEntity(エンティティ)ファイルを作成してサーバーにアップする必要があります。
以下コードを記述したファイル(Maker.php)を作成し、「app/Customize/Entity」下にアップします。
<?php
namespace Customize\Entity;
use Eccube\Entity\AbstractEntity;
use Doctrine\ORM\Mapping as ORM;
/**
* Maker
*
* @ORM\Table(name="dtb_Maker")
* @ORM\InheritanceType("SINGLE_TABLE")
* @ORM\DiscriminatorColumn(name="discriminator_type", type="string", length=255)
* @ORM\HasLifecycleCallbacks()
* @ORM\Entity(repositoryClass="Customize\Repository\MakerRepository")
*/
class Maker extends AbstractEntity
{
/**
* @var integer
*
* @ORM\Column(name="id", type="integer", options={"unsigned":true})
* @ORM\Id
* @ORM\GeneratedValue(strategy="IDENTITY")
*/
private $id;
/**
* @var string
*
* @ORM\Column(name="name", type="string", length=255)
*/
private $name;
/**
* @var string|null
*
* @ORM\Column(name="code", type="string", length=4000, nullable=true)
*/
private $code;
/**
* @var \DateTime
*
* @ORM\Column(name="create_date", type="datetimetz")
*/
private $create_date;
/**
* @var \DateTime
*
* @ORM\Column(name="update_date", type="datetimetz")
*/
private $update_date;
/**
* Get id.
*
* @return int
*/
public function getId()
{
return $this->id;
}
/**
* Set name.
*
* @param string $name
*
* @return Maker
*/
public function setName($name)
{
$this->name = $name;
return $this;
}
/**
* Get name.
*
* @return string
*/
public function getName()
{
return $this->name;
}
/**
* Set code.
*
* @param string|null $code
*
* @return Maker
*/
public function setCode($code = null)
{
$this->code = $code;
return $this;
}
/**
* Get code.
*
* @return string|null
*/
public function getCode()
{
return $this->code;
}
/**
* Set createDate.
*
* @param \DateTime $createDate
*
* @return Maker
*/
public function setCreateDate($createDate)
{
$this->create_date = $createDate;
return $this;
}
/**
* Get createDate.
*
* @return \DateTime
*/
public function getCreateDate()
{
return $this->create_date;
}
/**
* Set updateDate.
*
* @param \DateTime $updateDate
*
* @return Maker
*/
public function setUpdateDate($updateDate)
{
$this->update_date = $updateDate;
return $this;
}
/**
* Get updateDate.
*
* @return \DateTime
*/
public function getUpdateDate()
{
return $this->update_date;
}
}
コードが長くて複雑そうに見えますが割と単純で、大きく以下2つの要素から成っています。
- 3~16行目
-
エンティティを作成するときの決まり文句。
3行目のnamespaceは、このファイルを格納するディレクトリを指定すること。 - 17~最後
-
テーブルに追加したい項目(カラム)と、その項目の値を読み書きするための「set〇〇」「get〇〇」という関数を、それぞれの項目について用意。(この部分の記述がほとんど)
「id」はget関数のみidには「@ORM\GeneratedValue(strategy=”IDENTITY”)」という文言(アノテーション)が付いています。これは値が自動生成(自動連番)されることを示しており、値をセットする必要がありません。したがって、「id」にはset関数が不要です。
上記コードを参考にエンティティを作成する場合は、青下線部のMakerをテーブル名に合わせて変更してください。(8ヶ所あります。)
また、項目(カラム)名の変更や追加も自由にしてみてください。(追加する場合は、set関数とget関数の組み合わせも追加するのを忘れないこと。)
なお、nameとcodeに記述された「string」は格納されるデータが文字列であることを示します。もし数値のみを格納したいなら、「integer」などの数値を示す型に変更してください。

(既存テーブルに新しい項目を追加する方法の記事で作成した「ProductTrait.php」も格納されています。)
コマンドラインの操作
Entityファイルがアップできたら、次はサーバーにSSH接続して以下コマンドを入力していきます。
PHP 7.4が使えるようにする(対応済の場合はスキップ)
php -v
まずPHPのバージョンを確認しておきます。
もし上記コマンドを入力して、PHPのバージョンが7.2以下となるようであれば、PHP7.4が使えるように変更します。
変更の仕方は環境によって異なると思いますが、Xserverの場合は こちらの記事 を参考にしてみてください。
記事内では7.2になっているので、7.4に書き換えるのをお忘れなく。
SQLを実行し、データベースに反映する
まずは以下コマンドでキャッシュを削除します。
bin/console cache:clear --no-warmup
実行すると、
[OK] Cache for the ・・・・・・・ was successfully cleared.
というような文言が表示される。
次にデータベースを更新するためのSQLコマンドを入力します。
bin/console doctrine:schema:update --dump-sql
上は確認用のコマンドで、実行する場合は「–force」を付けた以下コマンドを入力します。
bin/console doctrine:schema:update --dump-sql --force
このコマンド実行後、問題がなければ新規テーブル(今回の例では「dtb_Maker」)が追加されています。

実際にデータベースを開き、「dtb_Maker」テーブルが追加されていればOKです。

まとめ
以上、新規テーブルの作成方法について紹介しました。
簡単なテーブルであれば、本記事中のコードをベースに編集することでいくらでも作成できます。カスタマイズに挑戦したい方の参考になれば嬉しいです。
また、作成したテーブルにデータを保存したり、保存したデータをページに表示したりといった操作には、Repositoryというファイルが必要になります。本記事ではそちらのファイル作成には触れていませんが、今後記事にする予定ですので、もうしばらくお待ちください。

