
プラスチックやアクリルなどの硬質素材に、2色以上のカラフルな名入れを行うにはコレ!
本記事では、UVフルカラー印刷(UV硬化インクジェットプリント)について解説します。
これまでに解説してきたメジャーな印刷方法である パッド印刷 や シルク印刷。
様々な素材や形状に対応でき、細かなデザインでもかなり正確に再現できる技術ですが、色数が多かったりグラデーションがかかっていたりするデザインが苦手という弱点がありました。

デザイン(異なる色同士が離れているなど)によっては2色以上もできるけど…
そんな都合よくいかないのが現実だよね。。。
しかしながら!
ここで解説するUVフルカラー印刷を使えば、2色以上はもちろん、グラデーションのあるロゴやイラストでも再現することが可能に!
単色になりがちな名入れが多い中、色鮮やかな名入れは、他のノベルティよりも大きなインパクトを残せるでしょう。
絵画のような、色の再現にこだわりたいアーティスティックなデザインにもオススメです。
- 「名入れ」ってそもそも何? という方はこちらから↓


UVフルカラー印刷の原理
超ざっくり言うと、グッズに直接インクをふき付けて印刷するだけ!
つまり、自宅やオフィスのプリンターで紙にフルカラー印刷するのと、基本的には変わりません。
ただ紙に印刷する場合と違うのは、紙はインクが染みこんで定着しやすいのに対し、プラスチックなどの硬質なモノはインクがすぐに乾かない(インクが落ちやすい)という問題があります。
そこで硬質なモノに印刷をする場合には、インクを吹き付けたあとにUV(紫外線)で硬化(乾燥)させるという工程が入ります。
「UVフルカラー」という名称は、この工程が由来となっています。
また、インクをふき付けて行う印刷方式を「インクジェット」と呼びます。
そのため、UVフルカラー印刷は「UVインクジェット印刷」や「フルカラーインクジェット印刷」とも呼ばれます。
インクジェットとUV硬化の仕組み
インクをふき付ける「インクジェット」という印刷方法と、インクを乾燥させる「UV硬化」について、こちらではもう少し詳しく解説したいと思います。
(少々専門的な内容になるので、興味ない方は スキップ してもらって大丈夫です。)
インクジェットとは?
「インクジェット」とはプリンターの印刷方式の一つで、微滴化したインクを直接対象物へふき付ける技術のこと。
普段よく目にするコピー機のプリンターの多くは、このインクジェット方式を採用しています。
インクジェットでは主に、以下の2つの技術が使われています。
- ごく少量のインクを超高速・連続して発射する微滴化技術
- 微滴化する際にインクが固まってしまわないようにする分散化技術
ふき付けるインクの粒が小さいほど、細部まで綺麗に印刷できます。
これは、写真などのピクセル画像を扱う方にはわかりやすいと思います。
ふき付けるインクの粒が小さい = ピクセルが細かい → 高画質
というようなイメージですね。
ちなみにインクを微滴化して噴射する方法は下記の2種類があるそうです。
(以下に簡単な図を描いてみましたが、より詳しく知りたい方は専門書籍やWebサイトにて)
- 1.ピエゾ(圧電)方式
-
電圧をかけると噴射部分の板(ピエゾ素子)が縮み、中のインクを押し出すことで噴射する方式。
ピエゾ方式によるインク噴射のイメージ - 2.サーマル(加熱)方式
-
噴射部分に熱をかけて気泡を作り出し、中のインクを押し出すことで噴射方式。
サーマル方式によるインク噴射のイメージ
UV硬化とは?
UVとはultravioletの略で、「紫外線」のことです。
紫外線と聞いて思い浮かぶのは日焼け。シミやシワの原因になる他、皮膚がんなどの病気になることもあります。
紫外線は、我々の肌に甚大なダメージを与えるほどに高いエネルギーを持った光なのです。
一般にはあまり良いイメージがない紫外線ですが、工業の現場ではこの高いエネルギーを活かして、色々なことに応用されています。ここで紹介しているUVフルカラー印刷もその一つ。


紫外線を特定の物質(UV硬化樹脂など)に当てると、その光エネルギーが物質に送り込まれて化学反応を起こし、バラバラに分離していた物質同士がどんどん結合して固まっていきます。これが「硬化」です。
UVフルカラー印刷で使われるインクには「UV硬化型インク」という種類が用いられており、UVが当たると数秒で固まります。目で見ると乾燥させているように見えますね。
UVフルカラー印刷の手順
原理の項目でもざっくり説明しましたが、改めてUVフルカラー印刷の手順を纏めました。


- 印刷したいデザインを、印刷機(UVインクジェットプリンター)に読み込ませる。
※パッドやシルク印刷で必要な「版」は不要 - 印刷したい箇所にインクが噴射されるよう、印刷機にグッズをセット。
- 印刷機のスイッチを入れると、インク噴射 → UV照射 の順で自動的に工程が進む。
- グッズを印刷機が取り出して完成。(インクは乾いているので、乾燥は必要なし)
UVフルカラー印刷の参考動画は以下より。1分程で視聴できます。
UVフルカラー印刷のメリット・デメリット
メリットは言わずもがな、フルカラーで印刷でき、グラデーションにも対応できること!
パッド印刷やシルク印刷でも2色以上に対応できないわけではないですが、そのプロセス上色数分の版と工数が必要になり、また印刷の位置合わせが難しい場合もあるので、1色印刷が基本です。
一方デメリットは、印刷できる素材や形状に制限があり、パッド印刷やシルク印刷に比べてグッズ数が少ない点が挙げられます。
以下にメリット・デメリットを纏めましたので、ご参考に。
メリット
- 2色以上やグラデーションの印刷ができる
- 高解像度出力で、細かなデザインも再現できる
- 乾燥工程が不要
- 版の作製が不要
→ 短納期で対応できる(デザインデータは必要)
デメリット
- 印刷素材が限定される(プラスチックやアクリルなどの硬質材料のみ)
➤ 繊維素材へは専用のフルカラー印刷機や転写印刷で対応可能 - プリンターのヘッド(インク噴射部・UV照射部)がぶつかると印刷できないため、グッズ表面に凹凸や突起物があるものもNG
- UVインク特有のにおいが残る(時間が経てば消える)
UVフルカラー印刷の費用
下記諸条件で変動するためレンジが広くなりますが、60~200円/個(+デザイン作製費用)が相場です。
印刷デザインによってインクの量が変わるため、印刷サイズが大きいベタ塗りのデザインは高額になります。
またグッズが大きいと、プリンターにセットできるグッズ数が少なくなってしまい印刷工程が長引くため、工賃が高額になります。
一方、版は不要なので製版代はかかりません。
UVフルカラー印刷で見かける専門用語
UV | Ultraviolet の略で、紫外線のこと。 |
インクジェット | 微滴化したインクを対象物へ直接ふき付ける印刷技術。 |
版下(はんした) | デザインの原稿。名入れでは、イラストレーターのAI形式ファイルなど一般にデジタルデータを指す。 |
ベタ印刷 | ベタとは「塗りつぶし」のことで、特定の色100%で塗りつぶす印刷のこと。 |
イラストレーター(イラレ) (Illustrator) | Adobe(アドビ)社が提供している、イラストやロゴなどのデザインを作成できるソフトウェア。 多機能で便利だが少し複雑で、使いこなすにはある程度の勉強が必要。 |
AIデータ | 上述のイラストレーターで作成されたデータの形式。ファイル名の拡張子が「.ai」になっているもの。パッドやシルクなど、名入れの版下はこのAIデータを指すことが多い。 |
UVフルカラー印刷にオススメのグッズ
フラットで硬質なグッズに限定されるため、他の印刷方式に比べると種類は少なめ。
ガジェットアイテムはフラットな設計(かつ名入れがしやすいシンプルデザイン)が多く、特にモバイルチャージャーは種類も多くてオススメです。
他にはプラスチックケース(薄型のもの)や時計、ミラーなど。
以下に代表的な最新グッズを載せておきます。
- モバイルチャージャー10000 スムーズ
大容量・2大接続可・Type-C対応、チャージャーはこれ一つで十分! 名入れは表・裏どちらにも可能で、かなり自由度が高い。 - マルチUSBケーブル
3種類のコネクター対応のUSBケーブル。チャージャーより印刷面積は狭め。 - 抗菌マスクケース
抗菌機能付きのマスクケース。超シンプルでフラット薄型形状は、名入れ映えのためにデザインされたと言ってもいいくらい。 - フロストスクエアミラー(M)
こちらも超シンプルでフラット薄型形状のミラー。フラット薄型は持ち運びや収納に便利で、ノベルティの要件も満たしています。
他にもUVフルカラー印刷できるものはたくさん種類があります。
もっと知りたい方は、こちらを覗いてみてください。→ UVフルカラー印刷可能ノベルティ・販促品
まとめ
以上、UVフルカラー印刷について分かりやすく纏めてみたつもりですが、いかがでしたでしょうか?
ノベルティへの名入れやオリジナルグッズ製作をお考えの方に、少しでも参考になってくれれば嬉しいです。