シルク印刷とは? 名入れの印刷技術 #02

シルク印刷について

本記事では、ノベルティグッズへの名入れやTシャツへのオリジナルプリントなどで用いられるメジャーな印刷技術の一つ、シルク印刷について、初心者向けに分かりやすく解説します。

※名入れについて詳しく知りたい方はこちら↓

目次

シルク印刷の概要

シルク印刷とは、細かな穴をたくさん開けた「版」にインクを擦り付けて文字や絵を印刷する方法です。(後述の手順で詳しく説明しています。)

この「版」はスクリーンと呼ばれるため、シルク印刷は「シルクスクリーン印刷」とも呼ばれます。
版の素材はポリエステルやナイロンなどの樹脂ですが、もともとの素材は絹(シルク)であったことから、「シルク印刷」という名称がつけられました。

シルク印刷で名入れできる素材は幅広く、プラスチックやステンレス、ガラスなどの硬質な素材に加え、バッグやタオル、Tシャツなどの繊維素材へもプリントできます。また、10cm以上の大きな範囲へ名入れできるのも特徴です。

基本的にフラットなグッズにしか名入れできませんが、特殊な装置を使うことでタンブラーやボトルなどの円筒形グッズにも名入れが可能です。これは「回転シルク印刷」と呼ばれます。

同じくメジャーな印刷技術であるパッド印刷と比較すると、以下のようなメリット・デメリットが挙げられます。

  • 良い点:繊維素材へ印刷でき、印刷範囲が大きい。
  • 悪い点:繊細さはパッド印刷に劣り、費用は高め。

※パッド印刷とシルク印刷の特徴はこちらで対比していますので、合わせてご覧ください。

シルク印刷の手順

シルク印刷のざっくりとした手順は以下の通りです。

  1. 印刷したいデザインの形に切り抜いた板(版)を作り、
  2. 板(版)の下に印刷したいグッズを置いて、
  3. 板(版)の上からインクを流し込むと、デザインの形状にインクが流れ込んで印刷される
  4. 専用の乾燥機などでインクを定着させる
※厳密には「孔版印刷」のイメージです。
※シルク印刷ではメッシュ状に細かな孔をあけてインクを通過させます。

冒頭でも述べましたが、現代ではこの版はポリエステルやナイロンなどの樹脂で作られていることがほとんど。
デザインの形状に合わせて版を切り抜いていくのですが(手順①)、デザインの形状に合わせて細かな孔をあけていくと言った方が近いですね。

こうしてメッシュ状のデザインができた版にインクを流し込み、平らなゴム製のヘラでインクを押し込むことでメッシュ部分のみをインクが通過することになり、版の下に置いた印刷対象物にプリントされる、という仕組みです。

ノベルティへの名入れの場合、印刷対象物の素材やデザインからまずメッシュサイズ(目の細かさ)を決め、版を作成します。メッシュが細かいほど仕上がりは綺麗になりますが、インクが目詰まりして使えなくなってしまう可能性も高くなるため、適切なメッシュサイズを選ぶ必要があります。

またその印刷方法の特性上、隙間なく色を塗るベタ印刷は得意ですが、極細線や小さな文字は苦手で潰れてしまいやすいので、デザイン作成において留意しておく必要があります。

版の見本。樹脂製の版がアルミ製のフレームに囲われています。昔はこの版がシルク(絹)だったため、シルク印刷と呼ばれています。
シルク印刷の現場。印刷対象物である赤色のバッグの上に版をセットし、次々と名入れを進めていきます。

以下の動画も分かりやすいので、よりイメージを膨らませたい方はどうぞ↓

シルク印刷のメリット・デメリット

メリット
  • 広範囲に印刷できる。
  • インクをたくさん使用できるため、ベタ塗りに向いている。
  • 吸水性のある素材(布など)にも発色ある印刷ができる。
  • 厚くインクを塗布できるため、耐候性に優れる。
デメリット
  • 基本的に1色または2色での印刷となる。(色数分の版が必要で、版の数だけ印刷工程も増える。)
  • グラデーションやシャドーなど、色数を表現できないものは不可。
  • 細かな文字や線などのデザインはつぶれやすい。
  • インクを乾燥させる工程が必要。
  • 洗剤によっては、洗浄時にインクが落ちる可能性がある。

パッド印刷とシルク印刷の違い

ざっくりですが、パッド印刷とシルク印刷の違いを表に纏めました。

パッド印刷シルク印刷
印刷方式オフセット印刷スクリーン(孔版)印刷
印刷面積
印刷精度高(細かいデザインも得意)低(細かいデザインは苦手)
印刷対象プラスチックやステンレスなど
繊維素材には向かない
プラスチックやステンレスに加え、
繊維素材もOK
費用安い高い
印刷スピード早い遅い
印刷業者や印刷対象物、デザインなどにより変わります。

基本的にシルク印刷はパッド印刷より大きくプリントでき、印刷できる素材も多いというのがメリットです。一方、版の作製費用が高く、使用するインク量が多いこと、乾燥工程が必要で工程が長いことなどから、パッド印刷より費用は高くなり、印刷に掛かる時間も長くなる傾向にあります。

※パッド印刷について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください↓

シルク印刷で見かける専門用語

シルク版シルク印刷で用いる版。スクリーンとも呼ばれる。詳細は上述の通り → こちらから飛べます。
スキージー(ブレード)まっすぐで滑らかなゴム製のブレード。シルク印刷では、版にインキを流し込んだ際のインキをスキージーを使ってメッシュに押し込みプリントする。
なお、清掃業者が窓を拭く際に使われるのもスキージーの一種である。
版下(はんした)デザインの原稿。名入れでは、イラストレーターのAI形式ファイルなど一般にデジタルデータを指す。
製版版下を元に、印刷の原版を作ること。シルク印刷の場合、上述の(シルク)版を作る作業を指す。
ベタ印刷ベタとは「塗りつぶし」のことで、特定の色100%で塗りつぶす印刷のこと。
イラストレーター(イラレ)
(Illustrator)
Adobe(アドビ)社が提供している、イラストやロゴなどのデザインを作成できるソフトウェア。
多機能で便利だが少し複雑で、使いこなすにはある程度の勉強が必要。
AIデータ上述のイラストレーターで作成されたデータの形式。ファイル名の拡張子が「.ai」になっているもの。パッドやシルクなど、名入れの版下はこのAIデータを指すことが多い。
アウトライン化ざっくりいうと、デザインを縁取って縁以外の余計な線(パス)を消すこと。製版はこの縁(アウトライン)に沿って作られるため、余分な線がある もしくは 縁が設定されていない場合、デザイン通りに版が作れなくなる。デザインを見ただけでは、この縁や線がどうなっているかは分からないため、基本的にはイラストレーターで確認し、修正も行う。

シルク印刷にオススメのグッズ

シルク印刷のメリットである「広範囲に印刷できる」ことと「繊維素材にも印刷できる」ことを活かし、印刷範囲が大きいフラットなものや、バッグ、タオルなどがオススメです。

他にもシルク印刷できるものはたくさん種類があります。
もっと知りたい方はこちらを覗いてみてください。→ シルク印刷可能ノベルティ・販促品

まとめ

以上、シルク印刷について分かりやすく纏めてみたつもりですが、いかがでしたでしょうか?
ノベルティへの名入れをお考えの方に、少しでも参考になってくれれば嬉しいです。

今後も名入れの印刷技術について随時記事をアップしていきますので、よろしくお願いします!

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