
マグカップやグラス、タンブラー、ボトルなど、円筒または円錐形グッズへの名入れにはコレ!
本記事では、シルク印刷 の技術を応用した 回転シルク印刷 について解説します。
基本的な印刷原理はシルク印刷と同じですが、平面ではない物体に対しどのように名入れを行っているのか、簡単なイラストを交えつつ紹介していきます。最後には、回転シルク印刷にオススメのグッズも少し紹介していますので、名入れする際の参考になればと思います!
- 「名入れ」ってそもそも何? という方はこちら↓

回転シルク印刷の手順
インクの載せ方が違う以外は基本的にシルク印刷と同じですが、改めてざっくり手順を説明します。
- 印刷したいデザインに応じた版* を作成。(シルク印刷と同じ))
- 版にインクを流し、印刷部分に均等にインクがのるようにスキージーなどで伸ばして馴染ませる。
- 版の下に印刷したい円筒もしくは円錐形状のグッズをセットし、版に接触した状態でグッズを回転させて印刷。
- 専用の乾燥機などでインクを乾燥させ、定着させる。

以下の動画が分かりやすいのでリンクを貼っておきます。わずか20秒なのですぐに見れます。
シルク印刷ではシルク版とも呼ばれる。
ポリエステルやナイロンなどの樹脂でできており、印刷したいデザインの形状にメッシュを作ることで作製する。
※この版はもともとは絹(シルク)で作られていたため、「シルク印刷」と呼ばれている。
メッシュ部分のみをインクが透過するため、デザインの形にインクが塗布されて名入れできるという仕組み。

シルク版の例。
通常のシルク印刷と同じものを用います。
シルク版についてはこちらでも詳しく解説しています。
回転シルク印刷のメリット・デメリット
メリットは何と言っても円柱形や円錐形の物体に名入れできること。
パッド印刷でも曲面に名入れすることはできますが、シリコンパッドの大きさに制限があるため限られた範囲しか印刷できません。一方回転シルクでは、一般的なサイズのタンブラーやボトルであればほぼぐるっと一周分の名入れを行えます。
※パッド印刷についてはこちら → パッド印刷とは? 名入れの印刷技術 #01
デメリットとしては、フラットな部分にしか印刷ができないことと、基本的に1色のみの印刷になることです。
上記の印刷工程イメージを見てもらえば分かると思いますが、印刷したい箇所に溝など凹みがあった場合は版と接触しないため、インクがのりません。また突起があった場合は回転の邪魔になるため、印刷自体が難しくなります。コップの持ち手やちょっとした装飾が妨げになることもあり、印刷前に考慮しておく必要があります。
また多色印刷も苦手です。パッド印刷やシルク印刷では、手間や費用は掛かっても色数分の版を作製することで対応できました。回転シルクでも同様にできそうな気がしますが、物を動かしながら印刷するという性質上2色目以降の位置決めかなり難しく、印刷がズレやすいという問題があります。角度、始点・終点、高さ、これら全てが完璧に揃わないと、印刷が滲んだりはみ出たりして綺麗に仕上がりません。
業者によっては多色刷りできるところもあるようですが、回転シルクは基本的に1色のみと理解した方が良いでしょう。
回転シルク印刷の費用
印刷デザインの大きさ、インクの量、印刷数、そして印刷業者によっても費用は変わりますが、一般的に70~120円/個が相場です。これに加えて「版」の作製が必要になり、これは数量に関わらず10,000~15,000円くらいです。(すでに版を作製していた場合は不要)
版の作製はパッド印刷やシルク印刷でも必要ですが、個々の印刷費用はこれらと比べて少々高め。グッズを回転させるために特別な治具が必要なことや、グッズのセット~印刷までに少し時間が掛かってしまうことが、主な理由と思われます。
回転シルク印刷で見かける専門用語
シルク版 | シルク印刷で用いる版。スクリーンとも呼ばれる。詳細は上述の通り → こちらから飛べます。 |
スキージー(ブレード) | まっすぐで滑らかなゴム製のブレード。シルク印刷では、版にインキを流し込んだ際のインキをスキージーを使ってメッシュに押し込みプリントする。 なお、清掃業者が窓を拭く際に使われるのもスキージーの一種である。 |
版下(はんした) | デザインの原稿。名入れでは、イラストレーターのAI形式ファイルなど一般にデジタルデータを指す。 |
製版 | 版下を元に、印刷の原版を作ること。シルク印刷の場合、上述の(シルク)版を作る作業を指す。 |
ベタ印刷 | ベタとは「塗りつぶし」のことで、特定の色100%で塗りつぶす印刷のこと。 |
イラストレーター(イラレ) (Illustrator) | Adobe(アドビ)社が提供している、イラストやロゴなどのデザインを作成できるソフトウェア。 多機能で便利だが少し複雑で、使いこなすにはある程度の勉強が必要。 |
AIデータ | 上述のイラストレーターで作成されたデータの形式。ファイル名の拡張子が「.ai」になっているもの。パッドやシルクなど、名入れの版下はこのAIデータを指すことが多い。 |
アウトライン化 | ざっくりいうと、デザインを縁取って縁以外の余計な線(パス)を消すこと。製版はこの縁(アウトライン)に沿って作られるため、余分な線がある もしくは 縁が設定されていない場合、デザイン通りに版が作れなくなる。デザインを見ただけでは、この縁や線がどうなっているかは分からないため、基本的にはイラストレーターで確認し、修正も行う。 アウトライン化については以下記事も参考に。 |
回転シルク印刷にオススメのグッズ
ノベルティとして安定した需要のあるタンブラーやボトル、グラス類から、回転シルク印刷に対応可能な最新グッズを最後に少しだけご紹介します。
- ポケマイボトル160ml
シンプルなポケットサイズの透明ボトル160ml。パッケージに窓がついており、梱包状態でも名入れデザインが見える! - スリムサーモステンレスボトル
ロングセラーのステンレスボトル。名入れ面積が非常に大きい。200ml、300ml、500mlの3サイズから選べます。 - ステンレスサーモタンブラー
ノベルティで大人気のシンプルタンブラー。回転シルクはもちろん、ワンポイントのパッド印刷も可能です。380mlと550mlの2サイズあり。 - ロックグラス(強化ガラス)
洗練されたデザインの、大人っぽいロックグラス(355ml)。口元は薄く仕上げており、飲み物の味をストレートに楽しめます。
他にも回転シルク印刷できるものはたくさん種類があります。
もっと知りたい方は、こちらを覗いてみてください。→ 回転シルク印刷可能ノベルティ・販促品
まとめ
以上、回転シルク印刷について分かりやすく纏めてみたつもりですが、いかがでしたでしょうか?
ノベルティへの名入れやオリジナルグッズ製作をお考えの方に、少しでも参考になってくれれば嬉しいです。
次回は、パッド印刷やシルク印刷では対応の難しいフルカラー印刷について紹介します。
引き続きよろしくお願いします!